太田和株式会社

「出雲織」について

2024.03.21

商品のこと

木綿の一大産地である山陰地方
その中でも独自に発展している「出雲織」を4月の展示会では特集いたします。
弊社展示会は小売店様向けですが、多くの方に知って頂きたくご紹介です。
(写真は以前工房に伺った際に撮影させていただきました)

島根県安来市で制作されている「出雲織」は青戸柚美江氏により
工房として確立されました。
白鳥の里という場所に建つ、かやぶき屋根の家屋の趣のある工房です。

出雲織工房


工房には母屋とは別に、
藍を建てる甕が収められた棟や、絣糸を張って作業ができる作業場があり。
現在は柚美江さんのお孫さんの、和成さんが藍のお守りをされているそう。

作品を見るたびに、
藍の色のバリエーションが豊かだな、とまじまじと見ていましたが
藍甕を8本も持っているから色の調整がしやすいのだと。
濃い藍から優しい水色、逆しばりでできる白絣など・・表現が豊かです。

工房に藍甕があり、それぞれ濃度が違う
経糸を張っているところ

デザインは伝統柄には囚われず、各自でデザインするスタイル。
それぞれの作者によってオリジナルの作品が生み出されます。

使う糸は綿が中心ですが、
訪問した際には紙糸や蓮の糸など様々な素材を見せて頂きました。

機は少し小ぶりな機に、
特徴的だったのは無数の針の跡がある板が取り付けられていたこと。
木綿の糸は張力で伸びが出てくるので、
絣合わせの為に引っ掛けて調整しながら織り進めていくのだそう。

経糸を引っ掛けて調整する板が取り付けられている

個人的な話をすると、
まだ入社する前、なんの紬かも良く分かっていない頃。
家にあった母の着物で大好きだったのが青戸柚美江さんの出雲織でした。
深い藍色の中にぽつぽつと水玉が散っているデザインで、
大小の水玉のチラつき方、よく見た時の藍色の色数の豊かさが好きで
ほんとに良く着ています。(もう一枚欲しい・・・)

伝統的な表現の木綿とはまた違った良さ。
“木綿の着物”としてではなく、
長く愛着を持てる着物の一つの候補として出会って頂きたいです。

文責:太田千景

工房に置かれただるまさん
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